11月15日に行った10周年記念式典には、遠くは東北、岩手県や関西方面から遠路多くの方にお越しいただき、
まことにありがとうございました。
おかげさまで、MMJは創立10周年をむかえることができました。
創業当初、潟宴Nテックスのサポートを目的に事業を開始しました。
ところが、ホームページを開設したとたん、ほぼ全国各地から原乳の引き合いがあり、配乳を始めました。
その後、岩手県、岩泉のアウトサイダー農家のグループが加盟していただき、
平成18年の生産調整では栃木の小林農産が加盟、北海道や愛知の農家の集乳も行いました。
この時期、販売量が飛躍的に増えました。
翌年、MMJでは岩手、栃木、群馬の3支部を作りました。
酪農行政は基本的に計画経済を実施しています。
が、原乳は足らないときもあれば、当然、余るときもあります。
18年の計画生産はバターの積み増しが過剰になったという理由から行われました。
北海道から九州まで、出荷枠が認められないがために生産した生乳の廃棄を命じられ
数千トンが処分されました。
当然、搾乳牛も処分されました。
生産枠が圧縮されたことから全国各地に酪農組合内部の争いが起こり、
悲惨な農家の現実が報道されました。
北は北海道十勝から南は九州の大分県まで、全国各地の生産制限のかかった地方に呼ばれ、
生乳販売に協力しました。
「困ったときのMMJ」「首つる前のMMJ」とまで言われ、全国を飛び回りました。
この生産調整が厳しかったため、生産者が意欲をなくしたのと、穀物相場が上がり、
飼料価格の高騰で需給バランスは急速に逆転し、生産調整後2年足らずでバターの不足が起こっています。
スーパーの商品棚にバターがなくなるという事件が起きました。
需給状況が逼迫し、生産が追いつかなくても価格が変わらないのが、国が進める生乳の制度です。
この制度の中で乳業界も酪農と同じような環境にさらされています。
欲しい時には配乳を減らされ、いらないときには取れといわれる。
需給バランスを助けているのは中小乳業です。
酪農組合の会議の席では「中小乳業が安売りするから生乳価格が上げられないんだ」と言われますが、
生乳を定価で買い取り、市乳の最も量的に売れている下段の棚に供給しているのは大手乳業ではありません。
農家のため、消費者のためがんばっているのは中小乳業と言ってもいいと思います。
近いところでは今年に入って岩手の農家が新たに増えています。
岩手が2支部になり日量15tを生産販売するようになりました。
これは、東北の震災のとき、3月12日から岩手県内は全て集乳をストップしました。
岩手全農は「3月いっぱい集乳、授精はできない」という判断を下し、
農家は生産した牛乳を畑に、川に約20日間捨てました。
捨てた生乳の代金は按分で支払われたのですが、岩手県酪全体で負ったということで、
その反動で岩手県酪はこの春からの乳価が大幅に下がる、ということが起こりました。
乳価、というのは酪農家にとって切実に影響するものです。
有利に販売する為にあるはずの組織が、まったく機能していない…ということではないでしょうか。
MMJは関係者の果敢な努力で、半日の遅れはあったもののこの間も集乳を続けられました。
震災後、岩手県で計4軒の酪農家が新たに加盟しています。
全国の自主販売を志す農家とそれを理解してくれる乳業をつなぐのがMMJの使命です。
自主販売、一般的な食品であれば当たり前に行われていることですが、
生乳に関してはアウトサイダーと呼ばれます。
まだまだ取扱量は小さいです。
でも全国で唯一、生乳自主販売の問屋を業として看板を上げて商売をしています。
東北から関東、西は岡山まで、各地の優秀な農家がMMJに加盟しています。
取引していただいている乳業も増えました。
それぞれ乳業さんは当初より2倍〜3倍の製造量になっています。
徐々に全国ネットができつつあります。
今後のMMJの課題は更なる組織の転換です。
取引乳業様にもMMJの運営に関わっていただけるような組織にしたいと考えています。
今後共、皆様のご協力をよろしくお願い申し上げます。
凱MJ代表取締役 茂木 修一