加工乳補給金制度改革パブリックコメントを開始

パブリックコメントに積極的な意見投稿を

9月6日より30日間、パブリックコメントを広く一般公募する事を農水省が開始した。
パブリックコメント投稿ページ
アウトサイダー(国の補給金制度に頼らず、指定団体に加入しない農家)酪農を営む全国の農家にとっては降って湧いたような話では有る。が、 50年続いた酪農の根幹の制度が大きく変わろうとしているのも事実だ。
酪農家のみならず全国民みなさんの未来に大きく影響する法改正である。
今、最後の大詰めの政省令を決めようとしている。
酪農家はもとより乳業や関係業界の方々には積極的に意見を述べていただきたい。
各酪農家、さまざまな理由でアウトサイダーを選択して今日に至っているわけで有るが、根本的な問題として自ら積極的にアウトサイダー、インサイダーという選択をしているわけではない。
50年前、日本は高度経済成長の時代、現行の制度は生乳の取引が、急速に需要と供給の拡大が進む中で季節的な需給バランスを調整しなければならない状況であった。
需給と流通が交錯する中、国が作った制度である。農家が自発的に考え、国の補助金など頼らず自ら創設したものではない。
初めから補助金ありきでスタートしている。今では加工乳補てん金だけで370億円、とも保証など関連補助金を加えるとゆうに500億円を超える。
金額は大きいが、この補給金が有意義に生かされ、酪農家、乳業界を活性化し、将来共に国の牛乳、乳製品の求めやすい価格での安定供給を実現しているのであれば大きな問題にはならない。
しかし 残念ながらそうではない。
今回の法改正の肝は酪農家に自由な選択権を与える事だ。
今までのように「平等」の名の下に全ての権限が指定団体に集約されていた時代が終わる。
一部の既得権者に生乳のほとんどが集中し、利権と業界の利益を享受、独占してきた制度が変わる。

問題多い集送乳調整金

多額の補助金で現行制度を支えてはいるが、インサイダーの中でも集送乳費などの点で大きく隔たりがある。
かかる経費を無視して費用の一元化や平準化を行えば無理があり、矛盾と偏りが生じる。
これを無視して結果の平等を求めれば、酪農家、または団体は集送乳の合理化やコスト低減の努力はしなくなる。
元々、加工乳補てん金と集送乳調整金という、加工乳に供された場合安い輸入の加工乳製品に対応するため補てん金の給付を行ってきた。
今回の法改正で新たに出現した集送乳調整金は、高コストになりがちな遠隔離島や山間僻地の集乳業務への助成である。
対象業務と目的の違うふたつの補助事業をひとつの原資から拠出し「ツルで支給」しようとしている。
初めから矛盾している。
今回の法改正の目的は一元的に国の補給金による縛りで自由を失っていた酪農に選択の自由を与え、個別の事業者も団体もMMJのような流通業者も同じ立ち位置になり、農家と業界が望む様々な販売方法、生産方法を展開できる環境を創ることにある。

平成29年9月25日  MMJ 代表 茂木修一


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日本酪農 新時代の幕開け

新年、明けましておめでとうございます。
この平成29年は日本の酪農にとって大きな変革の始まりになります。
生乳の指定団体が一元的に管理していた販売ルートは多元的になり、価格、量、販売先とも自由になります。
もちろん、いままで制度の指定を受けていた組織は継続されますので、いままで通りの出荷を続ける事もできるでしょう。
平成30年春に法施行される「全ての酪農家を対象とする」補給金制度改革で最も期待したいのはインサイダー、アウトサイダーという言葉が酪農業界からなくなる事です。
制度が生み出した悪しき差別意識が消滅する事です。
50年続くこの補給金制度は全く差異のない酪農集団を個々の意識の根底から断裂、相反させてきました。
酪農社会に深く抉られた癒される事のない傷を作って来ました。
制度上の差別がなくなり、酪農社会が自由に、フラットになる事で長年引きずって来たイン、アウトという認識や禍根が消える日がくると思います。
酪農社会を断裂させた全国各地に残るこの傷が癒える頃には、ある者はより消費者に近い位置に、ある者は海外に事業展開しているでしょう。
まさに酪農新時代の幕開けです。

昨年は乳業各社、酪農団体はもとより報道関係、業務用消費者、一般消費者の方々まで多大な応援、協力をいただきました。
ありがとうございました。
本年が皆々様にとって良い年になりますよう祈念いたします。

平成29年元旦  凱MJ代表取締役 茂木修一


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