今年農業基本法改正に伴い、農協法も改定され、その中に酪農の生乳不足払い制度もある。
近年の埼玉、北海道の訴訟問題から、公正取引委員会が19年4月18日付で「農業協同組合の活動に関する独占禁止法上の指針」を発表した。
その抜粋を以下に掲載。
農業協同組合の活動に関する独占禁止法上の指針 (平成19年4月18日公取委)抜粋 ア. 生産調整については、これに参加しない事業者に対して、協同組合内で不当に差別的な取扱いが行なわれ、 その事業者の事業活動を困難にさせる場合には、不公正な取引方法に該当し違法となるおそれがある(一般指定第5項:事業者団体における差別取扱い等)。 イ. 「不公正な取引方法」として16の行為類型を指定(「一般指定」)。 一般指定の規定に該当する行為(不公正な取引方法)が行われた場合、公正取引委員会が当該行為の差止め等の措置を命ずる(第19条、第20条)ほか、 当該行為によってその利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者から差止めを請求されたり(第24条)、当該行為の被害者から損害賠償を請求される可能性もある。 (第25条、民法第709条)。 これら16の行為類型のうち、本指針に関連する主なもの及びその概要は、以下のとおり。
ウ. 購買事業に関する問題行為
エ.販売事業に関する問題行為
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指定団体による生産調整は文中のア、およびイの(1)、(2)に該当すると思われ、また、現在進められている生乳検査・集乳料金の一元化は、イの(4)に該当する可能性がある。
このような指針が発表されたことは、指定団体のあり方を見直し、通常の商取引の制度に照らして改善を求めていくための多大なる後押しとなるはずである。
具体的には、指定団体による生産調整は文中のア、およびイの(1)、(2)に該当すると思われ、また、現在進められている生乳検査・集乳料金の一元化は、
イの(4)に該当する可能性がある。
特に、イの(3)不当廉売について、MMJは、北海道の産直パック牛乳が本州の広範囲で店頭価格138円で販売されている事実をもとに、12月11日、公正取引委員会に調査依頼書を提出した。(下記参照)
これは、生産調整に入った昨年の初冬から現在まで長期継続している安売りであり、関東・関西・九州にわたり広域で販売されていることから、
一時的な在庫整理ではないことは明白である。
北海道からの輸送費、店頭までの諸経費(コラム参照)を考えると、138円という店頭価格に行き着くまでには何らかのカラクリがあると疑わざるを得ず、
公正取引委員会には厳正な調査をお願いしてきた次第である。
公正取引調査依頼書 公正取引委員会公正競争監視室殿
平成19年12月11日 一昨年12月より酪農家の組織する生産者補給金制度の指定団体の中では、全国的な生産調整が行なわれました。現在もまだ一部地域では継続中です。 そうした中、指定団体の合議の基とはいえ、一部生産者に多大な経済的、精神的負担を強いる違法な場面、状況が見られました。 中には生産者仲間に減産を強いられ、経済的軋轢から自己の経営の限界に苦悩し、自殺した酪農経営者、後継者さえ発生しています。 別紙同封の貴委員会指針は、そうした農家に今後力となることと確信いたします。 今回は不当廉売されている北海道産直パックについて調査をお願いいたします。 ちょうど生産調整に入った一昨年初冬期より、北海道からの産直パックが異常な安値で出回るようになりました。 それまで安くても170円(末端価格)くらいで売っていたものが、急速に値段を下げ、138円まで値をつけました。 そのまま継続し今日に至っています。 当社で製造元に問い合わせたところ、一時的な在庫整理だろう、との返答でした。 ところが今年の夏も継続され、とうとう一年がたちましたが続いています。 別紙のとおり公表されている北海道乳価、96.40円からすると、末端小売138円というのはとても実現できる価格ではありません。 そこには何らかの意図的価格操作、または指定団体が国の補助金を添付できる加工乳向け原乳を転用(違法)していることが疑われます。 販売されている範囲は大変広域で、関東から名古屋東海地方、大阪、神戸、九州まで及びます。ぜひ厳正な調査をお願いいたします。 株式会社MMJ代表 茂木修一
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